侵襲的な検査が難しい健診では頚動脈エコーや眼底検査で動脈硬化を調べます

健診で動脈硬化を確認した場合は、進展を防止するために積極的な対応をとる必要があります。医師は検査結果を受診者に伝える際、今後との対策、追跡検査などを十分に理解してもらうことが肝心です。

高度な病変は専門医に相談

健診では、その性質上、侵襲的な検査を実施することは困難であることから、検査方法にも限界があり、効率的な手段を選ばなければなりません。主要な検査法としては頚動脈エコー、脳波速度、眼底検査が挙げられます。

エコー検査の進歩によって、多くの動脈の正常、血流を計測することが可能となりました。なかでも頚動脈は脳血管へ通ずる重要な動脈であるとともに、動脈硬化病巣も発生しやすく、しかも浅在性に位置していることから検査も容易となっています。

評価の目標は、一般に内膜中膜厚(IMT)で、血管内腔側の輝度の高い部分となります。正常値は1.0mm以下となっており、遠位壁のIMTが近位壁に比べて鮮明に描出されるので、計測は遠位壁で行なわれるのが一般的です。

観察には中心周波数7.5〜10MHzのリニア型Bモードプローブが適していますが、狭窄などの診断には血流速度の測定も求められることから、Bモードにドプラー、カラードプラーを組み込んだデュプレックスプローブが多く使用されています。

病巣の進行に伴ってプラークの形成が認められ、これらが一般に動脈硬化の危険因子と関係するといわれており、多くは総頚動脈から近位内頚動脈に分布するプラークの暑さを、左右の頚動脈で合計して求めています(PS:プラークスコア)。

高血圧、腎疾患などの結果として、眼底に異常が認められてくると脳動脈の状況を推定するうえで有用となります。視神経乳頭の異常として、腫脹が認められることがあります。脳脊髄圧の亢進によるうっ血乳頭か、視神経炎などによる炎症性のものが疑われます。

うっ血乳頭は初期では視覚障害は現れません。しかし視神経炎は片側性が多く、強い視覚障害を伴い、時に高血圧、腎障害によって発生することがあります。視神経乳頭の陥凹の拡大がある場合には、緑内障が疑われます。

血管異常については、対応する動静脈の太さの比は3:4ですが、2:3以下になれば細動脈の狭細化、1:2以下では重症高血圧の疑いが強くなります。