がん、心臓病、脳血管疾患は初期症状に乏しいため健診・人間ドックの受診が大切

日本人の死因の上位を占めるがん、心臓病、脳血管疾患は自覚症状に乏しく、初期には症状がほとんど現れないため、健診・人間ドックを受診して発見されるケースが多いです。

病気の二次予防

過去にの健診・人間ドックは、自覚症状がない状態から異常を早期発見する「二次予防」を目的として実施されてきました。しかし、成人病から生活習慣病へと概念が変化した今日、病気を発症させない「一次予防」に力点が移っています。

近年の著しい医学の進歩の恩恵により、病気を早期に発見したり、診断が可能となりました。例えば健診・人間ドックで発見される胃がんや大腸がんの70%以上は病状が進行していない早期がんであり、手術によって多くの人が健康な生活を送ることが可能となっています。高血圧、糖尿病、脂質異常症に代表される生活習慣病の診断が健診・人間ドックの大きな役割となっています。

健診・人間ドックが国民の健康生活の維持・増進において、その役割を十分に果たすためにはいくつかのポイントがあります。まず受診者個人の継続データ管理が尾行われていることが重要となります。

個人の継続データ管理がなされるためには、コンピュータによる情報管理が実施されていること、検査の精度管理が厳重に行われていること、データの互換性がとれていることが不可欠です。受診者がいつも同じ施設で健診を受けるという保障はないので、異なる施設で受けたデータが互換性が摂れるように処理されているかどうかは継続データ管理の最重要の要素となります。

検査の精度管理には内部精度管理と外部精度管理がありますが、前者は施設内における管理なので、施設庁の精度管理に対する姿勢がそのまま反映されます。外部精度管理は各種グループが実施していますが、日本医師会や日本臨床検査技師会が実施する管理調査は年1回同一の検体を全国に配布して行われます。日本総合健診医学会の行う精度管理調査は、年4回実施され、通常の検査にくわえ画像診断も含まれています。

体の特徴、生活様式や習慣は個人によって大きく異なるため、健診の成績を判定するためには、個人の継続データの特徴を分析し、分析された個人の基準値によって判定されることが理想です。

現在、ほとんどの健診・人間ドック施設では健診成績の判定に、集団の基準値を用いています。基準固体から基準値を設定している施設においても。個人の成績を判定するのに集団の基準値を使用している場合には注意が必要です。